年内最後の公演となった佐原詩音作曲個展vol.6を終え、この一年をしみじみと振り返っています。 2022年10月13日、《祭禮 —二台のヴィブラフォンのための協奏曲—》を初演後、強い虚脱感に襲われました。自分自身の中で思い描いていた音楽が空間に解き放たれ「…
明日から箱入りである。《北原白秋のまざあ・ぐうす》《リトアニア民謡"クリスマスの朝、薔薇が咲く"の主題による幻想曲》は2022年秋から2023年夏にかけて、同時期に作曲されたものでもあり、この両作品が10月13日、昨年《祭禮》が京都で初演された同じ日に…
1.はじめに 16時になりました。皆様こんにちは、打楽器の會田瑞樹です。本日はお暑い中ご来場誠にありがとうございます。私は普段、打楽器演奏を中心に活動しているのですけれども、本日はトークベースで、演奏ももちろんあるんですけれども、今自分の感じて…
昨晩は部屋中の灯りをつけたまま、泥のように眠ってしまった。図らずも良席を賜り、3時間越えのイベントを目の当たりにし、耳の疲労が極点に達したのだろうと思う。祭りは終わりだ、と記すのが昨夜は精一杯だったが、高熱の悪夢のようなサントリーサマーフェ…
2022年は時代が転換した年なのかもしれません。僕自身もまた、そのあり方が大きく変わった一年でもあったように思えます。これまでの新作初演に加えて、23曲の自作曲を解き放つことができたことは、多くの素晴らしい演奏家の皆様との出会いがあったからこそ…
昨夜、諸石幸生先生の訃報に接し、無性にベートーヴェンが聴きたくなった。交響曲第7番、第8番、第6番を立て続けに聞いた。諸石先生との思い出には、ベートーヴェンがぴったりと当てはまるような気がしたのだった。 自分にとって10代の頃にあまり良い思い出…
本年も多くの方々にお世話になりましたことを心から感謝申し上げます。改めて、自分一人の力ではなく、たくさんの方々の力や想いを胸に、こうして前向きに一歩ずつ歩んでおります。心から感謝の思いでいっぱいです。様々な場で出会ったお客様が、これからも…
2020年も残すところあと僅かとなりました。 毎年、世界初演リストを編集してみると、自分自身のその一年の動向が手に取るように感じられ、様々な思いが去来するのですが、今年は様々な思いが胸に込み上げてきます。 2010年、競楽Ⅸでのデビュー以来、打楽器音…
About the Piece/Mizuki AITA "Chant/Sutartinés" was composed with the special performance "THE PATH OF CH. SUGIHARA" of St. Christopher Chamber Ensemble held in Vilnius, Lithuania on October 8, 2020. In December 2019, the music director of …
2010年12月、競楽Ⅸ本選会。プログラム最後に演奏を終えて、真っ先に声をかけて来た方が西耕一さんだった。その後いただいたはじめてメールにはこんなことが書いてあった。 「…現代作品を演奏する打楽器奏者は多いですが、會田さんは一味違った選曲をしてくれ…
大学時代の4年間、顔から火が出そうな事を毎日積み重ねていた。見えているはずのものが見えていなかったり、小さいものが大きく見えていたり、大きいものを小さくみようと意固地になったりする生意気がカラダ中を支配していた。 そんなわんぱく小僧が、楢崎…
この料理は奥が深い。 いつも色々な場所に着地してしまう。毎回、同じところに着地できないのだ。 豆腐の水切りの問題もあるのかもしれない。いや、隠し味のトマトの水気の量が本当に素材によって違う。もしくはどこまで辛くするか… とにかく毎回、作るたび…
なっとうは大好物。一人暮らしを始めた頃、とりあえずなっとうを食べていればなんとかなると思っていた。北大路魯山人のなっとうへのこだわりも凄まじい。器に移し替え、箸を二本握りしめて、徹底的にかき混ぜる。そのあとにからし等、お好みで入れたのち、…
「パクチーを入れますか?」 最近アジア料理のお店に行くと、必ず聞かれるようになった。 健康を謳う人たちには随分馴染みの素材になったらしい。 僕はといえば、小学校時代、東京観光の折に母親お墨付きのタイ料理屋に連れて行かれ、パクチー豊富な様々な料…
しいたけというのは実に独特な食べ物だ。 しいたけの原木を見たことがあるが、実に生々しい。 きのこは宇宙人のようだ。傘が自らを守って、にょきにょきと進む。 そういえば、《きのこ》という童謡があった。まどみちお作詞、くらかけ昭二作曲。ピアノ伴奏の…
食べることが三度の飯より好き。これは実は日本が生んだ大哲学者土屋賢二先生のエッセイにある言葉を拝借している。 そもそも三食ご飯を食べる習慣は子どものころからあまりなかった。 実のところ小学校のころから、トーストを出されて、いやいや食べる、ひ…
トピックス:【重要】4月の主催公演中止について (B→C 會田瑞樹(パーカッション)、ヴィジュアル・オルガンコンサート186)|東京オペラシティ文化財団 打楽器の會田瑞樹です。みなさま、お元気でお過ごしでしょうか。 東京オペラシティ文化財団からの発表…
2019年も多くの方々にお世話になりましたことを、心から御礼申し上げます。振り返ってみると、2019年は昨年とは一転して国内に留まっての一年間となりました。年の初頭は自分自身がどうあるべきなのか色々と思い巡らし、悶々とした時間もあったのですが、初…
年に一度、会員の中から4人の作曲家が集い、自らが主催となり、作品を発表するオーケストラプロジェクトの季節が今年もやって来た。 オーケストラプロジェクトの初開催は1979年にさかのぼる。第一回目の参加作曲家は西村朗、松平頼暁、水野修孝、吉崎清富の…
「演奏家が作曲をするなど、論外。」 切り捨てるように言い放たれただけに、その壁は厚かった。 しかし、僕の過去を振り返れば奏者としてよりも作曲で世に出たのが最初だったのかもしれなかった。 中学三年、吹奏楽部を引退し受験勉強に精を出す時期に後輩か…
昭和63年生まれの僕としても、平成があと一ヶ月と告げられると去来する思いがある。感傷的なものでなく、駆け抜けた、という印象なのだ。 このところ遠い昔の記憶から呼び起こされるドラマがあった。木村拓哉主演の「ギフト」だ。この当時にしては随分ハード…
僕は在りし日の松村禎三先生にお会いしたことはない。最近になって松村禎三先生の肉声を聞く機会があったのだが、あまりにも祖父に似ていて(思えば骨格が似ているような気がする)驚いた。松村先生は京都生まれ、祖父は姫路生まれという意味でも両者どこか…
まだ大学生だった頃、音楽評論家・プロデューサーである西耕一さんからある音源をいただいた。 風鈴が鳴ると、微かにマリンバが聞こえてくる。オーケストラが濃密にクラスターを奏でるとごそごそと断片が集まってくる…打楽器の咆哮!そしてカオスティックに…
2018年も残すところあとわずかとなりました。今年も多くの方々に大変お世話になり、感謝の思いでいっぱいです。これからも多くのお客様に打楽器音楽、今を生きる音楽の限りない魅力を伝えるべく、尚一層精進してまいります。何卒、ご指導ご鞭撻のほどよろし…
旅するヴィブラフォンと題しての、リサイタル。ご来場を心からお待ちしております。全曲の聞きどころをご紹介です。 八村義夫(1938-1985)作曲《Dolcissima mia vita》今年生誕80年を迎える氏の最初で最後の打楽器独奏作品。ジェズアルドの同名マドリガルの旋…
以下は2016年3月24日に開催された「末吉保雄作品個展 ー内に秘めたる声を求めてー」パンフレットに掲載された末吉保雄先生と會田瑞樹の対談記事です。在りし日の末吉保雄先生を偲んで、ここに再掲させていただきます。 2018年8月20日に逝去された末吉保雄先…
序曲 「7月にまた会おう!」という言葉をふと思い出す。 誰だってできない約束をしたいわけじゃない。その人との再会を願う希望と共に、旅立つ人たちを見送る。そうやって人は出会いと別離を繰り返す。 1月を経ての数ヶ月の間に、僕たちは様々な経験をした。…
これで第4回目となる再放送、「打楽器百花繚乱」の放送が近づいてきた。2016年9月、まだ少し暑さの残る時期に101スタジオで二日間にわたって収録した懐かしい思い出が蘇る。ひとりひとりのスタッフの方々にお礼を言いたいくらい、そのプロ意識をまざまざと…
遭遇。かつて日本の作曲家、石井眞木(1936-2003)が提唱していたその言葉は僕の中で幾度となく響きました。東洋と西洋の文化が「遭遇する」という思考は、隷属的な意味を持つ「融合」とは一線を画す新たな意味を持つ言葉と僕は確信します。そしてこの言葉は「…
2017年、33曲の新しい音楽を初演いたしました。全ての皆様に感謝を込めて。 三ツ石潤司 《祈り-2016-》/東京混声合唱団第212番委嘱作品/東京混声合唱団第243回定期演奏会(指揮:鬼原良尚/打楽器:會田瑞樹)において初演 薮田翔一 Gush -Concerto for Vibra…