會田瑞樹の音楽歳時記

打楽器奏者、會田瑞樹の綴る「現代の」音楽のあれこれ。

【重要】4/18仙台・4/21東京オペラシティ會田瑞樹B→C公演中止について

トピックス:【重要】4月の主催公演中止について (B→C 會田瑞樹(パーカッション)、ヴィジュアル・オルガンコンサート186)|東京オペラシティ文化財団

 打楽器の會田瑞樹です。みなさま、お元気でお過ごしでしょうか。  
 東京オペラシティ文化財団からの発表の通り、2020 年4月18日仙台、4月21日東京で開催予定であったB→C會田瑞樹パーカッションリサイタルは中止の運びとなりました。東京オペラシティ文化財団の皆様とともに、改めて仕切り直してなんらかの発信ができる日を模索して参りますが、現時点ではこのような発表になってしまいますことを、心からお詫び申し上げる次第です。  
 なによりもすでにチケットをお買い求め頂きました多くのお客様に対しては、煩雑な払い戻しの手続きをお願いしなければならないことになんとお詫びをしてよいか分かりません。必ずや再び、みなさまとお会いできるように心を砕いていきたいと思っております。  

 2020年2月15日の大阪・あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホールでの會田瑞樹ヴィブラフォンリサイタル in OSAKA 終演後からの1ヶ月半、”延期”や”中止”はもはや日常の言葉となりました。公演を主催する方々が決断する中止も延期も開催も、そのどれもが、心を砕いて、最後までその可能性を模索し、芸術の芽を絶やすことなく次に繋げていきたいという意志によって生み出されたものです。それは、全ての方々が「考えた」からこそたどり着いた一つの結論です。  

「人間は考える葦である。」哲学者パスカルの言葉です。  

 自然の前に、人間とはいかに小さいものなのか、この1ヶ月で思い知りました。僕は何ができるのでしょうか。僕には医療の知識はなく、そんな頭脳も持ち合わせません。最前線で戦う医療従事者のみなさまへ強い敬意を表します。そして、日用品を買い求める列を一人一人さばいてくれるスーパーのマダムや、地下鉄で懸命に一つ一つのホームドアを磨いてくださる方々、感謝をしたい方々は枚挙に暇がありません。全ての人たちが懸命に日々向き合いながら過ごしています。  

 目に見えないものへの畏怖を感じる時代になったと痛感します。  
 僕たちは、今心静かに、その音に、耳を澄ます必要があると感じます。  

 2009 年10 月、まだ学生の頃、《自分の人生を変えた音楽》と位置付けていた石井眞木作曲《サーティーン・ドラムス》を中心に据えた試験に向けて稽古に明け暮れていました。ウブな僕自身を満たすような太鼓の音が高鳴るに連れ、その試験日には強い台風が迫っていました。「あなたの試験は延期になります。その時期はまだ分かりません。」前日夜に受けた通達の翌日、なかなか見ることができないくらいの台風一過の素晴らしい青空に包まれた朝が訪れました。  
 べそをかきながら吉原すみれ先生に電話し、先生は一言。  
 「仕切り直しましよう。もっと良いものができる。」  
 その強い一言が再び胸に去来します。  

 お読みいただきありがとうございます。  
 みなさま、どうか、ご安全に。
 
                       會 田 瑞 樹(2020年4月3日)