會田瑞樹の音楽歳時記

打楽器奏者、會田瑞樹の綴る「現代の」音楽のあれこれ。

2019-01-01から1年間の記事一覧

回顧2019/新作初演49作品/模索から新たな展開へ

2019年も多くの方々にお世話になりましたことを、心から御礼申し上げます。振り返ってみると、2019年は昨年とは一転して国内に留まっての一年間となりました。年の初頭は自分自身がどうあるべきなのか色々と思い巡らし、悶々とした時間もあったのですが、初…

オーケストラプロジェクトに思う

年に一度、会員の中から4人の作曲家が集い、自らが主催となり、作品を発表するオーケストラプロジェクトの季節が今年もやって来た。 オーケストラプロジェクトの初開催は1979年にさかのぼる。第一回目の参加作曲家は西村朗、松平頼暁、水野修孝、吉崎清富の…

作って曲げて

「演奏家が作曲をするなど、論外。」 切り捨てるように言い放たれただけに、その壁は厚かった。 しかし、僕の過去を振り返れば奏者としてよりも作曲で世に出たのが最初だったのかもしれなかった。 中学三年、吹奏楽部を引退し受験勉強に精を出す時期に後輩か…

走れ、正直者

昭和63年生まれの僕としても、平成があと一ヶ月と告げられると去来する思いがある。感傷的なものでなく、駆け抜けた、という印象なのだ。 このところ遠い昔の記憶から呼び起こされるドラマがあった。木村拓哉主演の「ギフト」だ。この当時にしては随分ハード…

松村禎三先生とわたし

僕は在りし日の松村禎三先生にお会いしたことはない。最近になって松村禎三先生の肉声を聞く機会があったのだが、あまりにも祖父に似ていて(思えば骨格が似ているような気がする)驚いた。松村先生は京都生まれ、祖父は姫路生まれという意味でも両者どこか…

2/10第一生命ホール14時開演:水野修孝作曲《マリンバ協奏曲》30年ぶりの再演によせて

まだ大学生だった頃、音楽評論家・プロデューサーである西耕一さんからある音源をいただいた。 風鈴が鳴ると、微かにマリンバが聞こえてくる。オーケストラが濃密にクラスターを奏でるとごそごそと断片が集まってくる…打楽器の咆哮!そしてカオスティックに…