會田瑞樹の音楽歳時記

打楽器奏者、會田瑞樹の綴る「現代の」音楽のあれこれ。

食べることが三度の飯より好き:四食め「テンペイとなっとう」

 なっとうは大好物。一人暮らしを始めた頃、とりあえずなっとうを食べていればなんとかなると思っていた。北大路魯山人のなっとうへのこだわりも凄まじい。器に移し替え、箸を二本握りしめて、徹底的にかき混ぜる。そのあとにからし等、お好みで入れたのち、さらに混ぜる、とにかく混ぜる。徹底的に混ぜた後にご飯の上に乗せて、暖かなお茶をかけるなっとう茶漬けも、その見た目なかなかとはいえ味は格別。

  なっとう好きな外国の友人は僕の周りにはいない。けれど、それにつながる料理だと思ったのは、インドネシアジョグジャカルタ出身のウェリ・ヘンドラモッコのお母様が作る「テンペイ」である。
 テンペイは、インドネシアでは頻繁に食べられる料理で、日本でもインドネシア料理店に行けば簡単に食べることができる。揚げてあって淡白な味わいで、あまり個性を感じないと思う。

  ウェリの母上の味付けは極上である。
 日本食で近い味付けと言えば、佃煮。それに赤/青両方の唐辛子を効かせたパンチの効いた味わいで、香ばしいテンペイが食欲を増進させ、美味い。

 テンペイとはなにか。以下引用。
「テンペイ(Tempeh)はインドネシアの伝統的な食材。ゆでた大豆をバナナの葉などで包み、一晩発酵させて作る。納豆の親戚だが粘り気が無く、味の方ももっと淡白。豆腐と同じようにタンパク質に富んだ自然食品として人気がある。」

(出典:http://www.asobikata.com/eat/discover/discover010724_01.htm)

  おやおや、なっとうの親戚ではありませんか。
 しかし、なっとうのような粘り気はない。そして淡白。ウェリのお母様は甘辛く煮付けてくださる。まさに家庭の味なのだが、これが実に美味いのである。例えば、ナシゴレンにいれても(インドネシア語ナシゴレン(ナシ=お米、ゴレン=揚げる)絶妙なのだ。初めて食べた時、僕は感嘆した。ウェリは恥ずかしそうに言った。「日本の人たちは辛いものが苦手と聞いていたから、いつだそうかとタイミングがわからなくて…美味しいと感じてくれて嬉しいよ。」

  ウェリも今年の九月にはパパになる。実にめでたい。