回顧2018:會田瑞樹世界初演作品39曲
2018年も残すところあとわずかとなりました。今年も多くの方々に大変お世話になり、感謝の思いでいっぱいです。これからも多くのお客様に打楽器音楽、今を生きる音楽の限りない魅力を伝えるべく、尚一層精進してまいります。何卒、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
2018年も様々な作品との出会いがありました。とりわけ今年は、数年来に渡って作曲家の方々と構想を練り、温めてきた協奏曲の初演は忘れ得ぬものとなりました。山内雅弘作曲《SPANDA》を大井剛史指揮・東京交響楽団とともに世界初演、権代敦彦作曲《Sæwol –海から》・佐原詩音作曲《The Snow ヴィブラフォンと弦楽オーケストラのための》をリトアニア・ヴィリニュスにおいてModestas Barkauskas指揮、St. Christopher Chamber Orchestraとともに世界初演、権代作品は先の會田瑞樹ヴィブラフォンリサイタルにおいても、須田陽指揮・甲斐史子氏をコンサートマスターに特別編成弦楽オーケストラにおいて日本初演も行うことができました。これらの作品をさらに、再演を重ねたいという強い思いがあります。2017年に初演した薮田翔一作曲《Gush》は第一楽章をアンサンブルフリーイーストの皆様と再演し、続編の完成が待たれています。国枝春恵作曲《弦楽器・打楽器・尺八のための音楽〜花をIII 〜》を張国勇指揮・中国国家交響楽団とISCM(国際現代音楽協会)世界音楽の日・北京大会でのフィナーレコンサートで演奏できたことも、大きな刺激となりました。
海外での公演は北京・ジョグジャカルタ・パリ・ヴィリニュスと、様々な都市を巡ることができました。世界中の人々との音楽による会話はとても魅惑的であり、日本で生まれた様々な作品を世界中の人々に演奏して回りたいという決意が生まれつつあります。
加えて、国際交流基金アジアセンター主催事業である「NOTES」への参加で、これまで突入することのなかった領域である”作曲”に関心を抱くこととなりました。全員合奏のための《The river》躍動感を兼ね備えた《Kampai-Divertimento》《Welly》の3作品を作曲し、実際に音出しをして公演で披露することによって、自分自身の音楽のあり方を改めて見つめ直すことができました。このような機会を与えてくださったことに、感謝しています。さらに即興演奏で1時間を構成した、新倉壮朗氏とのセッションは音空間を二人で作り上げる痛快な時間となりました。
今年は作曲家の個展へも多く参加できたように思えます。清水一徹、木下正道、高橋悠治各氏の個展、たかの舞俐氏プロデュースによる公演は、個々の作曲家の持つ個性が明確に打ち出され、それぞれに強い印象を残しました。
さらに能舞台を実験的空間として再構築する、清水寛二氏の新たな試み「青山実験工房」への参加は大きな閃きをいただくことができました。湯浅譲二作曲《舞働》を舞との共演で、久田典子作曲《原始蓮 ー赤猪子のいた日からー》を佐藤紀雄先生と初演できたことや、12月公演では湯浅譲二作曲《冬の日・芭蕉讃》・八村義夫作曲《ブリージング・フィールド》を高橋アキさん、木ノ脇道元さん、篠崎和子さん、トーマス・ピアシーさんという尊敬する演奏家の方々とご一緒できたことが、何より嬉しく、大きな学びの時となりました。内藤明美作曲《砂の女》も四年ぶりの再演となり、作品の魅力を改めて感じ、2012年に初演した際以上の、発見に満ちるものとなりました。
松平敬氏とのシューベルト・シュトックハウゼンを巡る「星と冬の旅」はシューベルトをヴィブラフォンで演奏するという強烈な試みで、楽器の可能性をさらに示唆するように感じました。このプロジェクトは長期的に発展することを目指しています。シュトックハウゼン作品との邂逅もどこか人肌のある彼の作品に大いに興味を持ちました。
出会いとともに、別れもありました。末吉保雄先生逝去の報は僕にとって多大な衝撃と悲しみでした。音楽家として様々な学びの時間をくださった末吉先生への感謝は尽きることがありません。遺してくださった素敵な作品の数々を折に触れて演奏を重ねていくことが、僕にできる最大の恩返しだと思っています。
12月25日、24日に30歳を迎えての初舞台となった會田瑞樹ヴィブラフォンリサイタル-旅するヴィブラフォン-は、多くのお客様においでいただけたこと、感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございます。
多くの方々に感謝を込めて、どうぞ来年もよろしくご贔屓のほど、
何卒、お願い申しあげます!!!
薮田翔一
《Aita 〜愛多〜》
會田瑞樹生誕30年を祝って作曲/糀場富美子先生門下作品発表会において初演
薮田翔一
《如月〜祈りの森より〜》
會田瑞樹委嘱/AITA in the DARKにおいて初演
薮田翔一
《Gush 2 Intermezzo -Concerto for Vibraphone and Orchestra-》
アンサンブル・フリーイースト委嘱/第9回アンサンブルフリー・イースト演奏会(杉並公会堂)において初演/指揮:浅野亮介/ヴィブラフォン独奏:會田瑞樹
木下正道
《ただひとつの水、ただひとつの炎、ただひとつの砂漠Ⅱ》
曽我部清典先生と弟子達特別演奏会「今日までそして明日から」において初演
清水一徹
《Re;hearse 〜笙と箏、打楽器のための》/清水一徹作品個展演奏会(笙:真鍋尚之 箏:平田紀子 打楽器:會田瑞樹)において初演
久田典子
《原始蓮 ー赤猪子のいた日からー》/青山実験工房委嘱作品/青山実験工房第一回公演(ギター:佐藤紀雄/打楽器:會田瑞樹)において初演
木下正道
《灰、灰たち.. 灰...V for Guitar & Percussion》「季節をめぐる歌たち」木下正道作曲作品個展(ギター:土橋庸人/打楽器:會田瑞樹)において初演
木下正道
《冬のスケッチ(宮沢賢治) for Soprano, Bass Flute, Bass Clarinet & Percussion》「季節をめぐる歌たち」木下正道作曲作品個展
(小坂梓: ソプラノ沼畑香織: フルート/バスフルート 岩瀬龍太: クラリネット/バスクラリネット 會田瑞樹: 打楽器)において初演
木下正道
《季節表2 (エドモン·ジャベス) for Soprano, Flute, Clarinet, Guitar & Percussion》「季節をめぐる歌たち」木下正道作曲作品個展
(小坂梓: ソプラノ 沼畑香織: フルート/バスフルート 岩瀬龍太: クラリネット/バスクラリネット 土橋庸人: ギター 會田瑞樹: 打楽器)において初演
木下正道
《春はあけぼの(清少納言)for Soprano, Flute, Clarinet, Guitar & Percussion》「季節をめぐる歌たち」木下正道作曲作品個展
(小坂梓: ソプラノ 沼畑香織: フルート 岩瀬龍太: クラリネット 土橋庸人: ギター 會田瑞樹: 打楽器)において初演
中川俊郎
《アコースティックエレジーVII》/會曾vol.3において初演/(トランペット:曽我部清典/打楽器:會田瑞樹)
桑原ゆう
《2 と32 [In Between b]》/會曾vol.3において初演/(トランペット:曽我部清典/打楽器:會田瑞樹)
森田泰之進
《I/SO tope》/會曾vol.3において初演/(トランペット:曽我部清典/打楽器:會田瑞樹)
山本準
《セピア色のバラード》/會曾vol.3において初演/(トランペット:曽我部清典/打楽器:會田瑞樹)
原島拓也
《極彩ドロップNo.6》/會曾vol.3において初演/(トランペット:曽我部清典/打楽器:會田瑞樹)
佐原詩音
《Petorunkamuy》/會田瑞樹札幌ミニライブでの初演を経て改訂、會曾vol.3において初演/(打楽器:會田瑞樹)
會田瑞樹
《The river》/国際交流基金アジアセンター主催事業「NOTES」
インドネシア・ジョグジャカルタ公演"INVISIBLE"において初演/(Voice:sri wahyuningsih,KazumaOchiai,RieAoyagi,Piano:GardikaGigih,Gundel:WellyHendratmoko,Drum:AriefWinanda,Koto:NobuhiroKaneko,Vibraphone:Mizuki Aita)
Arief Winanda
《Music for Cymbal China》/国際交流基金アジアセンター主催事業「NOTES」インドネシア・ジョグジャカルタ公演"INVISIBLE"において初演/(China Cymbal:Mizuki Aita)
Gardika Gigih
《夢をみたい– I want to see Dreams –》/国際交流基金アジアセンター主催事業「NOTES」インドネシア・ジョグジャカルタ公演"INVISIBLE"において初演/(Pianica:Gardika Gigih,Vibrphone:Mizuki Aita)
會田瑞樹
《Kampai-Divertiment》/国際交流基金アジアセンター主催事業「NOTES」インドネシア・ジョグジャカルタ公演"INVISIBLE"において初演/(13koto:Nobuhiro Kaneko,Vibraphone:Mizuki Aita)
Welly Hendratmoko
《Harmoni in Ryoanji》/国際交流基金アジアセンター主催事業「NOTES」インドネシア・ジョグジャカルタ公演"INVISIBLE"において初演/(Voice:sri wahyuningsih,Piano:Gardika Gigih,Gundel: Welly Hendratmoko,Arief Winanda,Koto:Nobuhiro Kaneko,Vibraphone:Mizuki Aita)
山内雅弘
《SPANDA -ヴィブラフォンとオーケストラのための-》/オーケストラプロジェクト2018において初演/(指揮:大井剛史/ヴィブラフォン独奏:會田瑞樹/管弦楽:東京交響楽団)
黒田崇宏
《poco rit…for Vibraphone solo》/MIZUKI AITA Récital de Vibraphone in Parisにおいて初演
Marin Escande
《Villes à travers forêts, fôrets à travers villes》會田瑞樹委嘱/MIZUKI AITA Récital de Vibraphone in Parisにおいて初演
青柿将大
《Reverse graffiti for Vibraphone solo》會田瑞樹委嘱/MIZUKI AITA Récital de Vibraphone in Parisにおいて初演
佐原詩音
《玉蟲の翅、その結び》會田瑞樹委嘱/MIZUKI AITA Récital de Vibraphone in Parisにおいて初演
権代敦彦
《Sæwol -海から- ヴィブラフォンと弦楽オーケストラのための》會田瑞樹委嘱/「EXOTIC JAPAN」において初演/Vilnius St. Christopher Chamber Orchestra/Conductor – Modestas Barkauskas/Soloist – Mizuki Aita, vibraphone
佐原詩音
《The Snow ヴィブラフォンと弦楽オーケストラのための》會田瑞樹委嘱/「EXOTIC JAPAN」において初演/Vilnius St. Christopher Chamber Orchestra/Conductor – Modestas Barkauskas/Soloist – Mizuki Aita, vibraphone
《湖と舟 〜湖北の光と陰〜》WINDS CAFE 262 in 原宿 打楽器百花繚乱Ⅴ 〜旅するヴィブラフォンへの序曲〜において初演
原島拓也
《toi tˈɔɪtɔ́ɪfor percussion solo》會田瑞樹委嘱/WINDS CAFE 262 in 原宿 打楽器百花繚乱Ⅴ 〜旅するヴィブラフォンへの序曲〜において初演
J.S.バッハ(白藤淳一編曲)
《プレリュードとフーガ BWV543》會田瑞樹委嘱/WINDS CAFE 262 in 原宿 打楽器百花繚乱Ⅴ 〜旅するヴィブラフォンへの序曲〜において初演
會田瑞樹
《Welly》/国際交流基金アジアセンター主催事業「NOTES」東京国立博物館公演において初演/(Gundel:Welly Hendratmoko,Vibraphone:Mizuki Aita)
Welly Hendratmoko
《Imbal Wacana》/国際交流基金アジアセンター主催事業「NOTES」東京国立博物館公演において初演(Gamban: Welly Hendratmoko,會田瑞樹 Voice:落合一磨、青柳利枝)
ゼミソン・ダリル
《歌枕3:西芳寺》工房・寂 制作 現代音楽シリーズ「庭」 第一回公演:『二つの庭』において初演/薬師寺典子 (ソプラノ)、海上なぎさ(イングリッシュ・ホルン)、會田瑞樹 (パーカッション)
F.シューベルト(松平敬/編)
《冬の旅》バリトン・ヴィブラフォン版/松平敬×會田瑞樹 シュトックハウゼン&シューベルト〜星と冬の旅 において初演
K.シュトックハウゼン(松平敬/編)
《ティアクライス》松平敬×會田瑞樹 シュトックハウゼン&シューベルト〜星と冬の旅 において初演
金子仁美
《分子の香り ー3Dモデルによる音楽Ⅱー》會田瑞樹委嘱/會田瑞樹ヴィブラフォンリサイタル ー旅するヴィブラフォンーにおいて初演
中川俊郎
《影法師Ⅱ ヴィブラフォンとマリンバ(独りの奏者による)のための》會田瑞樹委嘱/會田瑞樹ヴィブラフォンリサイタル ー旅するヴィブラフォンーにおいて初演