時代は独裁者を求める
薮田翔一作曲/會田瑞樹作詩
《時代は独裁者を求める》
(2017.12.5初演 打楽器:會田瑞樹 ソプラノ:Sunny)
もういいじゃないか これ以上、何を望むのか。
私利私欲の先に、大多数の人々のムクロが見える。
それでも止めようとしない群衆は自らの凶悪性に気がついたのか。
残虐性を認めて、血の味を再び味わいたがっているのか。
ならば、僕もまた独裁者になろう。
自らの凶悪性を認めるのなら、それくらいのことはできるはずだ。
独裁とは、一人で出来るものではない。
たくさんの人々の協力を得なければならない。
僕は考えるのをやめてはいけない。
自らをより、強く主張する他に、生き抜く道はない。
・・・
「ぼくのしょうらいのゆめは、どくさいしゃになることです。」
子どもたちがそう言い出した時、私たちは何を言えるだろう。
何がまちがっているのか、何がいけないのか。
誰も説明することはできないだろう。
かつて異国で、ひとつの民族を根絶やしにした男も、
はじめはひとりの、芸術家志望の青年にすぎなかった。
求められ、演じた末のからくり芝居よ。
できるだけ良い役を演じたいと思うなら、
独裁者だけはやめなさい。
彼は、誰かに受け入れられたいだけなのよ。
ひとりぼっちがさみしいのなら、そう言えばよかったのに。
いつのまにか、そんな風になってしまったのね。
できるだけ良い役を演じたいと思うなら、
僕はあなたと、今日も同じ時間を過ごしていたい。
(2017.9.19 / Tokyo)