會田瑞樹の音楽歳時記

打楽器奏者、會田瑞樹の綴る「現代の」音楽のあれこれ。

《告知》6月4日(日)13:30開演/京都コンサートホール「アンサンブル・フリー第25回演奏会」

 来たる6月4日日曜日、13時30分より京都コンサートホールにおいて「アンサンブル・フリー第25回演奏会」が開催される。今回、アンサンブル・フリー主宰であり指揮を務める浅野亮介さんのご尽力によって、薮田翔一さんの新作ヴィブラフォン協奏曲《Gush》を初演する運びとなり、独奏者として小生が演奏の拝命を受けた。願ってもないこの機会に、関係各位のすべての方々に感謝の思いでいっぱいである。

 薮田翔一さんとの音楽の響宴は、ヴィブラフォン独奏のための《Billow Ⅱ》にはじまり、テープ音楽と独奏のための《Phantom》、打楽器のための《Annihilation》吹奏楽と打楽器のための協奏曲《Ambition》、スネアドラムのための《Metamorphose》ヴィブラフォン独奏のための《Saturation》と現時点で6曲。此の度のコンチェルトで7曲目と驚異的なペースで音楽を共にしている。どの作品も強い個性に裏打ちされ、僕自身の肉体や精神に働きかけてやまない音楽たちだ。
 此の度の《Gush》も、二管編成のオーケストラと共に、ヴィブラフォンが旋律と和声を心の奥底から歌い上げる喜びに満ちた音楽で、初回の合わせの折から、薮田さんの持つ音楽の力の虜になっていた。全編を通じて二本バチで演奏する事も、僕自身が最も尊敬するジャズ・ヴァイビスト、ミルト・ジャクソンのイメージに重なり合う。
 冒頭から耳を澄ましてほしい。協奏曲は古来の歴史から様々な方法で開始されてきた。例えばモーツァルトのように「ダブル・エクスポジション(主題部がオーケストラ単独で奏でられ、再び独奏者によって主題部が奏でられる協奏的競演)」のような開始が古典派時代の一般的な開始方法であった。それに革命をもたらしたのがベートーヴェン、とりわけピアノ協奏曲第4番でのピアノに拠る序奏の開始は革新的であるとされている。では薮田さんが出した答えとは。これは是非会場で体感してほしい。

 アンサンブル・フリーの皆さんはお休みの日である土曜日曜の時間を綿密な稽古に充ててくださった。どの方も様々な要職に着かれている方々ばかりで、ご多忙の中、音楽に打ち込む喜びに満ち溢れたオーケストラであり、小生もご一緒出来る事を心から嬉しく幸せに感じている。指揮者浅野亮介さんは関西と関東を往復しながら拙宅にもお出まし下さり、独奏部だけの稽古にも多くの時間を割いてくださった。この場をお借りして厚く御礼申し上げたい。

 アンサンブル・フリーのホームページでは、指揮者浅野さんと作曲家薮田さん、そして小生による鼎談の記事も掲載されている。こちらも是非ご一読頂けたら幸いである。

ensemblefree.jp

 また、開演15分前の13時15分より、舞台上にて三人でプレトークを開催する事も決定した。作品の聞き所や裏話等、満載でお届けしたい。

 それでは、会場でお待ちしております!!!