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會田瑞樹の音楽歳時記

打楽器奏者、會田瑞樹の綴る「現代の」音楽のあれこれ。

《告知》4月13日(木)朝5時よりNHK-BSプレミアム「打楽器百花繚乱」

 明日13日の木曜日早朝5時より、NHK BS-プレミアム「クラシック倶楽部」において『打楽器百花繚乱 Percussion Extraordinaire 〜Mizuki Aita〜』が放送される。ひとりでも多くの方に見て頂けたらと強く思う。打楽器音楽の魅力をここまで凝縮した番組を作ってくださった事、そして若輩者の僕にこのような機会を与えてくださった全ての方々に感謝の思いしかない。

 第一曲目は田口和行作曲《回鼓録》一筋の光の中でタイトに響く太鼓の音色。これらは田口氏の発案で僕の指定した多くの方の「氏名」がモールス信号化しており、数学的な発想と太鼓の直に響いてくる律動が美しく融合し合っている。
 第二曲目は水野修孝作曲《ヴィブラフォン独奏のための三章より第三楽章》を。追いかけっこのように軽妙に旋律が交差するこの作品は初演の際から多くの反響を得て、僕自身も何度も演奏を重ねている。

 打って変わってむせ返るような熱気の中で収録された「ヒューマン・ビートボックスとの即興バトル」は、予定調和無しにベスト8に進出したコンテスタントと會田が即興を繰り広げたドキュメンタリー。僕自身もその場で繰り出されるビートの数々に胸躍った。ひとつひとつの音色に耳を傾けてほしい。

 ダンサー小尻健太さんをお迎えした権代敦彦作曲《光のヴァイブレーション》
 委嘱の際に権代さんにとある絵画をお見せした。僕が心酔している画家鴨居玲の「教会」(1976/ひろしま美術館所蔵)という作品だ。一面の蒼が広がる中、教会が宙に浮遊する。この絵を見るために何度も展覧会に足を運んだ。こんな経験は生まれて初めてだった。権代さんなら何かを感じ取ってくださるはずとこの特殊な形での委嘱を打診した。その応えは音楽によって回答された。権代さんのご自宅でこの譜面に対峙したときの、密度ある時間を僕は永遠に忘れる事はないだろう。映像では浮かび上がる十字と小尻さんの綿密な舞踊に是非ご注目頂きたい。さらに今注目のデザイナーmatohuの堀畑裕之、関口真希子両氏がこの番組のためだけに制作してくださった衣装も必見である。

 NHK委嘱作品、小出稚子作曲の《Jamtic Jamtac》は放送による世界初演だ。NHK委嘱による打楽器アンサンブルのための作品はマリンバの大家、安倍圭子先生が初演した《マリンバ・スピリチュアル》以来になるのではないだろうか。小出さんにお願いするということは一筋縄ではいかないと覚悟していた。予想通り、打楽器奏者にタップを踏ませるという挑戦的な内容。収録一ヶ月前には別仕事での滞在先のホテルでも夜な夜なタップ稽古に明け暮れた事を思い出す。タップ指導のSAROせんせいが指導の度に繰り出す心臓の奥から響くリズムの音色は未だに忘れられない。共演には千葉交響楽団打楽器奏者を務められる齊藤綾乃さん、女流打楽器奏者として芯のある活動を続ける角銅真実さん、多くのオーケストラで活躍し僕の公演にも幾度も力を貸してくれる小林孝彦氏を迎えて挑んだこの音楽。今僕の中で、この作品をコンサート初演したいという強い思いに満ち溢れている。どんな方法があるだろうか。もしご覧になった方でこんな方法があると思われた方は是非僕までご一報をお願いしたい。

 羽根玲夢作曲《星巡りの記憶》は、2014年にNHK-FMリサイタルノヴァ出演のために羽根先輩に書き下ろしてもらった作品だ。羽根先輩は大学在学中に出会った「ほんものの作曲家」の一人だった。僕が委嘱をお願いした第一作目も羽根先輩の作品だ。宮沢賢治の素朴な旋律がヴィブラフォンによって星の彼方まで届いていくようだ…

 どんなことも、多くの方々の力がなければ成り立たない。
 多くのスタッフさんのお力を思い起こす。半年近く、ともに走ってきたYディレクターの優しくも力強い眼差しを思い起こす。

 この番組が多くの方々の心に届く事を強く願っている。

www4.nhk.or.jp