會田瑞樹の音楽歳時記

打楽器奏者、會田瑞樹の綴る「現代の」音楽のあれこれ。

【告知】會田瑞樹サードアルバム『五線紙上の恋人』発表。10.26リサイタルより先行発売。

 「ぼくたちは、各々が想い、感じるままに五線紙上の恋人を探し求めて、彷徨い続けるのだろう。」(會田瑞樹)

 『ヴィブラフォンのあるところ』より半年。會田瑞樹打楽器独奏によるサードアルバム『五線紙上の恋人』をALMコジマ録音より発表致します。「打楽器独奏で紡ぐ音楽劇」をテーマに、「思慕」「別離」「調和」という三つの構成に分かれ、聞くものに様々な感情を投げかける、打楽器音楽の新たな可能性を示唆するディスクがここに誕生。公式発売に先駆け、10月26日、杉並公会堂でのリサイタルにおいて先行発売決定です。(公式発売は12月7日より開始。)

 収録作品は、間宮芳生、末吉保雄、金井勇、バッハ、清水一徹、久木山直、中川俊郎、白藤淳一、福井とも子各氏の作品、さらに作曲家薮田翔一氏の全面協力により、このCDのために作曲された新作《五線紙上の恋人》を収録。薮田氏はジャケット撮影にもその手腕を発揮されました。

 更に、音楽之友社とのタイアップにより、収録作品である間宮芳生作曲《ヴィブラフォンマリンバのための音楽》と末吉保雄作曲《スネアドラムによる”五つの情景”のためのエチュード》の楽譜が同時出版。演奏とともに、楽譜による作品の魅力の表出が期待されます。

eplus.jp

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會田瑞樹サードアルバム「五線紙上の恋人」収録作品

序幕
威勢よく 〜さあいらっしゃい!寄ってらっしゃい!〜
(末吉保雄:作曲/スネアドラムのためのエチュードより)
 
第一幕 思慕
少しおどけて 〜何が踊るって?〜(末吉保雄:作曲/スネアドラムのためのエチュードより)
樹を見る(金井勇:作曲)
五線紙上の恋人(薮田翔一:作曲/會田瑞樹:作詩)
イギリス組曲第2番より”サラバンド” BWV807(J.S.バッハ:作曲/白藤淳一:編曲)
 
第二幕 別離
静かに 〜雨滴れを聞く夜〜 (末吉保雄:作曲/スネアドラムのためのエチュードより)
Camera Obusucura(清水一徹:作曲)
La Folia(久木山直:作曲)
幕間狂言 〜私たちの「ラ・フォリア」より〜(中川俊郎:作曲)
 
第三幕 調和
さあ、行け 〜勇気を奮って〜(末吉保雄:作曲/スネアドラムのためのエチュードより)
あやかしの余韻(白藤淳一:作曲)
U-rahara 〜color song Ⅵ〜(福井とも子:作曲)
Music for Vibraphone and Marimba(間宮芳生:作曲)
 
終幕
帰ろうっと 〜立ち停ったりしないで〜
(末吉保雄:作曲/スネアドラムのためのエチュードより)
 
助成:公益財団法人野村財団(デビューアルバムから三作連続で助成を頂戴致しました。感謝申し上げます。) 

《告知》8月5日(土)エルパーク仙台14時:會田瑞樹ヴィブラフォンソロリサイタル in SENDAI

 2007年、音楽大学を目指して一浪中の僕は、そのほとんどをエルパーク仙台か、仙台市青年文化センターの練習室で一日の大半を過ごしていた。いわばそこは、僕にとっての予備校だった。
 予備校と言っても、そこに先生はいなかった。自ら持ち込んだ小太鼓と、真っ白なホワイトボードがあるだけ。マーカーで書き込む。あるとき、こんなことを書いた...

         「いつかここで、リサイタルをしよう。」

 10年の月日が流れて、仙台七夕の前日にその計画を実行してみたい。
 ご来場を心からお待ちしております!

 

會田瑞樹ヴィブラフォンソロリサイタル 2017 In Sendai 〜出会いの場所で〜

 

2017年8月5日(土): 仙台・エルパーク仙台スタジオホール

13時30分開場・14時開演/演奏会終了予定15時30

 

入場料:一般自由1000円(当日券500円増)

マネージメント:マーベラス・スタジオ

お問い合わせ:labmama11@ybb.ne.jp/090-2973-7958(相澤)

プレイガイド:ヤマハミュージックリテイリング仙台店・カワイミュージックショップ仙台・サンリツ仙台本店・藤崎

主催:會田瑞樹

助成:(公財)朝日新聞文化財団、(公財)光山文化財

出演:會田瑞樹(ヴィブラフォン独奏)白藤淳一(ナビゲーター)

 

演奏曲目                      

山 根 明季子 作曲(b.1982) 〜ポップでカラフルな、毒

《glittering pattern ♯2》(2017/世界初演

 

稲 森 安太己 作曲(b.1978) 〜鋭利な都会的現実主義

《Blumenstrauß 〜花束〜》(2017/世界初演

 

清 水 一 徹 作曲(b.1976) 〜現代の暗部を辿って

《Camera obscura》(2017/世界初演)

田 口 和 行 作曲(b.1982) 〜南国からの息吹

《ヨイスラ綺譚》(2017/世界初演)

 

白 藤 淳 一 作曲(b.1981) 〜儚き響きを追って

《あやかしの余韻》(2017/世界初演)

 

Carlos Gardel 作曲(咲 間 貴 裕 編曲/b.1972)〜遥かなる風を感じて

《El Dîa Que Me Quieras 〜思いの届く日〜》(1935/2015/世界初演)

  

間 宮 芳 生 作曲(b.1929) 〜楽器の「声」の幽玄

《Music for Vibraphone and Marimba》(2016/世界初演

 

會田瑞樹ヴィブラフォンソロリサイタル in Sendai|コンサート/公演/リサイタルのチケット情報・販売・購入・予約|e+(イープラス)

《告知:7月21日金曜17時30分より/霊南坂教会》公募作品演奏会”ラ・フォリア”

 トランペット奏者曽我部清典さんの呼びかけで集まった作曲家と演奏家全員の主宰で、今週金曜日に開催する「公募作品演奏会"ラ・フォリア"」の準備が佳境に入っている。練習室の予約やチラシ、プログラム制作も奏者が手がけ、作曲家はこの演奏会のために新しい音楽を用意してくださった。「創造者たちのプレイグラウンド」と総指揮を務める曽我部さんの言葉が眩しく光る。小生は自作の編曲も含め、8曲参加する。

 《ラ・フォリア》ほど、僕の心をくすぐり、そして掻き乱す言葉はない。

 5歳から手に取ったヴァイオリンは、稽古嫌いが災いして遅れをとるばかり。最悪とも言える生徒の一人だった僕は、しかしヴァイオリンをやめたいとは思わなかった。上級生が演奏していたヴィヴァルディのa-mollのコンチェルトは絶対に弾きたい。そこまでは牛歩の歩みでなんとか辿り着いたが、その後も先生に迷惑をかけながらヴァイオリンにしがみついていた。ついにヴァイオリンを辞めるときが来た時、最後の音楽はコレルリが手がけ、鈴木鎮一編曲による《ラ・フォリア》だった。僕はこの曲の途中で、ヴァイオリンから離れる事になった。最後のレッスンは、曲の真ん中くらいだったと思う。曲が終わる事のないまま、さんざん迷惑をかけつづけた師匠に御礼を述べた。こんなにも出来の悪い弟子が辞めていくのに、先生はなぜ涙ぐんでいたのだろう。僕には今でも分からない。

 大学に入って、《ラ・フォリア》という音楽を途中まで書き残して死んだ男がいると知った時、愛おしく思った。この音楽はそれだけ深い意味があると思った人は、どうも僕以外にもたくさんいるらしいと分かったからだった。

 久木山直さん作曲の《La folia》は、今回ソプラノの新藤昌子さん、ハープの鈴木真希子さんとともに、トリオ・バージョンでの初演となる。
 2015年には楽譜を頂き、ずっと脳裏に初演する事を思い描きながら、僕の技術不足でなかなか手が出なかった、たかの舞俐さん作曲の《Adieu and rebirth》は、ピアノに中川俊郎さんを迎えて、すっかり氏に頼りっぱなしである。題名通りに、深く烈しく、自らの生き様を投影するかのような音楽だ。
 主宰曽我部清典さんとのデュオのよる山内雅弘さん作曲の《Helix Ⅱ》は実験的な試みを踏まえた、掌の小説のような音楽。
 久保田翠さんと音楽での共演は、2011年以来となる。教会の空間を生かした《Nearer,My God》は有名な賛美歌の旋律を虚空の彼方まで響かせる。
 廣田はる香さんとは共通の師匠を通して長く知っていたけれど、音楽でのご一緒は初めて。
 中川俊郎さん作曲の《私たちの『ラ・フォリア』》は、空間の中に「ミサ」を創造する奇抜な試みを。
 僕自身の編曲はヴィヴァルディの《ラ・フォリア》を今回集まった編成のために。ヴィヴァルディもまた《ラ・フォリア》に魅せられていた事がとても嬉しかった。そしてそれは、作品番号第一番。若かりし頃のヴィヴァルディの音楽を現代に蘇らせたいと思う。そして、「ラ・フォリア」と言う出発点をここに表現出来たらと思う。

 7月21日金曜、17時30分より開催のマラソンコンサート。心から御来場をお待ちしております!

ヴィブラフォンのあるところ

 「ヴィブラフォンのあるところ」が発売から早くも一ヶ月が経った。多くの方々から様々な反応を頂き、心から感謝の思いでいっぱいである。どんな風にヴィブラフォンの音色が皆様に響いているか、僕自身もそれを想像しながらわくわくしている。ご興味を持たれたら、是非演奏会で生のサウンドも体感して頂けたらと心から思う。演奏会独特の呼吸感から微細な震えを伴う音色の綾を是非聞きにきて頂きたいと思っている。

 

 発売後すぐに、音楽プロデューサーである平井洋さんが小生のアルバムを聴いて頂いていることを記事で目にし、とても嬉しく思った。仕事中の張りつめた空気感の中に「ヴィブラフォンのあるところ」が広がってくれる事が目に浮かんだ。さらに音楽学者である丘山万里子先生率いる「Mercure des arts」の今月の一枚に選出され、丘山先生自らのレビューには心躍った。丘山先生は小生も敬愛する作曲家八村義夫氏の論考を発表しており、何度も読んでいた。八村氏の作品への言葉を中心に、彼の目指す音の向きを炙り出すこの著作は、現在ネット上で公開されており、是非ご一読頂けたらと思う。

 また音楽雑誌では、レコード芸術において「特選盤」を頂いた。これは全ての作曲家の皆様に心からの感謝の思いであった。その他にも朝日新聞 for your collection では、片山杜秀先生による打楽器音楽への無限の可能性を、氏独特の語り口で執筆してくださり、尊敬する打楽器奏者の方々と共にご紹介頂けた事も身の引き締まる思いであった。

 さらに先頃発売された雑誌「一個人」においても、小沼純一先生による打楽器音楽へのあたたかな眼差しを書かれた「今月の三枚」での紹介、ぶらあぼの新譜紹介をはじめ、作曲家野村誠さんのブログ打楽器奏者新倉壮朗さんブログではタワーレコードでのレコ発ライブの模様を書いて頂いた。いずれも何か心に残るものがあれば、奏者としてこの上ない喜びである。タワーレコード渋谷・新宿店では小生がポップを書かせて頂き、仙台パルコ店、山野楽器仙台店にも近日ポップが置かれる予定となっている。
 また、小生も記事を寄稿した事もある音楽現代においても、推薦盤の評を頂いた。感謝の思いである。

 アルバム発売と同時に、多くのところから小生のインタビュー記事が掲載された雑誌「洪水」の最終号となる第20号では、編集長池田康さんに陰翳に富んだインタビューをしていただいた。
 また故郷仙台では、仙台吹奏楽団常任指揮者の畠山渉さんとCheer upみやぎ編集長三嶋令子さんとの鼎談によるロングインタビュー記事が掲載された。仙台の話や吹奏楽の体験を含めた、これまでにないものとなった。
 吹奏楽情報ページ「WindBandPress」においては、編集長梅本さんとの対談による『「現代音楽」という言葉の響きの硬さを取り払いたい』を発表した。僕自身の音楽体験をもとに、少しでも多くの方に興味を持ってもらえばと願ってのインタビューとなった。

 今後も多くの方にディスクを手に取ってもらえたらと思う。
 そして、今。僕の中で小さな、様々なものがまたうごめいて、集積しつつある。出来る限り早く、皆様のお手元に届くように準備しようと思っている。

セヴラックと私

 このところ様々な機関誌に寄稿を依頼されるようになった。かつて小説家を志していたこともあったので、願ったり叶ったりでもあるのだけれど大体聞かれる質問は同じ事も多く、その度関心を頂かれている部分はそんなところにあるのかなと思ったりする。おそらく、一番多いのは「なぜ、たくさんの新作委嘱を手がけるのですか?」だと思う。いろいろな思いが重なり合っての行動なのでいつも一概には説明出来ない。でも、本稿で書くなら僕はこの答えを出す。
 「セヴラックにも、打楽器独奏のための作品を書いてほしかったから。」と。

 もし彼が3オクターヴヴィブラフォンという楽器に出会っていたなら、《休暇の日々、ヴィブラフォンと》なんて組曲が、あるいはマルチ・パーカッションの妙技に触れていたら南仏の舞踊のリズムをモチーフにした小曲だって出来上がったかもしれない。打楽器の限りない魅力を多くの方に知って頂くためには、作曲家とのコミュニケーションが何より大切だと思うからなのだ。そうやって末吉保雄先生には何曲もお願いして、《スネアドラムのためのエチュード》をフランスの二つの都市で演奏出来た事、そして日本で演奏したときとはまた違ったお客様の強い熱気を得た事が、僕にとっても大きな励みとなっている。
 そして2017年のリサイタルでの委嘱作曲家には間宮芳生先生をお迎えする事が出来た。これは僕にとって悲願の一つであった。吹奏楽の作品で中学生の頃からそのお名前を知り、どの作曲家にもない音の手触り、そして市井の人々の持つ「叫び」を楽譜にたぐり寄せて行く姿勢に共鳴していた。

 悲しい事だけれど、文化とは守ろうとしなければ消滅することを最近痛感している。人が死ぬ事で、その人にある記憶や知識は手の届かないところに飛んで行ってしまう。だから、人はなんとか紙に記したり、若い世代にその思いを託そうとしてくれる。

 

 「ちょっと手伝ってくれない?」末吉保雄先生からのある日の電話。セヴラックという名前を僕は知らなかった。手始めにYouTubeで探してみよう、いくつかのピアノ曲がある、それならばこれか。《ポンパドール夫人のスタンス》… この感じ、とても好きだ。次、《凛浴する乙女たち》なんて凄い曲なんだろう…風が吹いてきて、その風がどこまでも突き抜けて行くような感じだ…

 ある日突然、自分の知らなかった世界が見える事はとても麗しいことだ。僕はそれこそ、生まれてきたからこその喜びだと思う。

 そんな中で得た《風車の心》の演奏機会、そしてサンフェリックス=ロラゲへの訪問。僕たちは風車を見る事は出来なかった。セヴラックも分かっていたのではないか。「風車」とは、滅び行く文化のひとつであることを。

 《風車の心》の歌詞や、登場人物を見ていると僕はなにかと重なり合うところがあった。それは、僕の父の生家である山形の小さな村。ここには、田んぼと山しかない。かつて、野菜を育て家畜もたくさんいたこの村は、今僅かばかりのお年寄りと、ピエールみたいに馬鹿正直に人の良い、そんな人しかここにはいない。

 ジャックは出て行かなければならなかった。都会生活に浸ったものは、この滅び行く村の、破壊の原因にもなりかねない。知る必要のない事は死ぬまで知らなくて良い。粉屋の老人の悲痛な叫びを思い返す。「合唱」の存在も劇中では大きいようにも思える。ジャックの幼少期の思い出が形になる。
 そして「pour toujours」すなわち「永遠に。」ジャックは去る。そして、「死」を臭わせる旋律。しかし本当に「死」を迎えるのはこの村そのものではないか。滅び行くものへの惜別の哀歌ではないか?僕がトライアングルを鳴らし、村人たちが出てきたあの場面の合唱は以下の通り。

 「恵みをもたらす黄金の秋の風と光に幸いあれ。ああ、あなたの大きな善行は続く。ああ、旅人よ。それは石の色、それは花の香り。」(會田意訳)

 むき出しになった鋭利な機械と、大きな樽。寂しそうに置かれたワイン瓶にはびっしりと埃が堆積していた。かつてここでワインを作り、そして労働にいそしんだ人々はどこへ向かって行ったのだろう。

 

 文化とは、守る事をしなければ滅び、消えて行く運命にある。

 「他」を知る事を拒絶し、自らだけを守ろうとしたとき人間は卑小になる。

 多様性を寛容しない社会になる事だけは、避けなければならない。

 

「セヴラック通信第22号2017前期 日本セヴラック協会会報」(発行:日本セヴラック協会)より転載

 

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《告知》6月4日(日)13:30開演/京都コンサートホール「アンサンブル・フリー第25回演奏会」

 来たる6月4日日曜日、13時30分より京都コンサートホールにおいて「アンサンブル・フリー第25回演奏会」が開催される。今回、アンサンブル・フリー主宰であり指揮を務める浅野亮介さんのご尽力によって、薮田翔一さんの新作ヴィブラフォン協奏曲《Gush》を初演する運びとなり、独奏者として小生が演奏の拝命を受けた。願ってもないこの機会に、関係各位のすべての方々に感謝の思いでいっぱいである。

 薮田翔一さんとの音楽の響宴は、ヴィブラフォン独奏のための《Billow Ⅱ》にはじまり、テープ音楽と独奏のための《Phantom》、打楽器のための《Annihilation》吹奏楽と打楽器のための協奏曲《Ambition》、スネアドラムのための《Metamorphose》ヴィブラフォン独奏のための《Saturation》と現時点で6曲。此の度のコンチェルトで7曲目と驚異的なペースで音楽を共にしている。どの作品も強い個性に裏打ちされ、僕自身の肉体や精神に働きかけてやまない音楽たちだ。
 此の度の《Gush》も、二管編成のオーケストラと共に、ヴィブラフォンが旋律と和声を心の奥底から歌い上げる喜びに満ちた音楽で、初回の合わせの折から、薮田さんの持つ音楽の力の虜になっていた。全編を通じて二本バチで演奏する事も、僕自身が最も尊敬するジャズ・ヴァイビスト、ミルト・ジャクソンのイメージに重なり合う。
 冒頭から耳を澄ましてほしい。協奏曲は古来の歴史から様々な方法で開始されてきた。例えばモーツァルトのように「ダブル・エクスポジション(主題部がオーケストラ単独で奏でられ、再び独奏者によって主題部が奏でられる協奏的競演)」のような開始が古典派時代の一般的な開始方法であった。それに革命をもたらしたのがベートーヴェン、とりわけピアノ協奏曲第4番でのピアノに拠る序奏の開始は革新的であるとされている。では薮田さんが出した答えとは。これは是非会場で体感してほしい。

 アンサンブル・フリーの皆さんはお休みの日である土曜日曜の時間を綿密な稽古に充ててくださった。どの方も様々な要職に着かれている方々ばかりで、ご多忙の中、音楽に打ち込む喜びに満ち溢れたオーケストラであり、小生もご一緒出来る事を心から嬉しく幸せに感じている。指揮者浅野亮介さんは関西と関東を往復しながら拙宅にもお出まし下さり、独奏部だけの稽古にも多くの時間を割いてくださった。この場をお借りして厚く御礼申し上げたい。

 アンサンブル・フリーのホームページでは、指揮者浅野さんと作曲家薮田さん、そして小生による鼎談の記事も掲載されている。こちらも是非ご一読頂けたら幸いである。

ensemblefree.jp

 また、開演15分前の13時15分より、舞台上にて三人でプレトークを開催する事も決定した。作品の聞き所や裏話等、満載でお届けしたい。

 それでは、会場でお待ちしております!!!

 

 

 

《告知》6月7日セカンドアルバム「ヴィブラフォンのあるところ」発売

 會田瑞樹、3年ぶりとなるニューアルバム「ヴィブラフォンのあるところ」が6月7日ALMコジマ録音より全国にリリースされます。発売を記念して、6月10日15時、タワーレコード渋谷店において発売記念ミニライヴを開催。当日は渋谷で心からお待ちしております。収録作曲家も多数来場予定です。

収録曲は以下の通りです。

Chapter Ⅰ 軌 跡                            

1、Billow 2(2015)/薮田翔一

2、Luci serene e chiare(1596/2016)/カルロ・ジェズアルド(白藤淳一編曲)

3、Music for Vibraphone(2014/2016)/渡辺俊哉

4、華麗対位法 Ⅲ-2 by Marenzio(2015) /横島浩

5、ヴァイブ・ローカス(2015)/湯浅譲二

Chapter Ⅱ 超 越                            

6、Wolverine(2014)/川上統

7、color song Ⅳ -anti vibrant-(2014)/福井とも子

8、海の手 Ⅲ(2016)/木下正道

9、光のヴァイブレーション(2016)/権代敦彦

10、夢見る人(1701/2016)/ マラン・マレ(會田瑞樹編曲)

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